こんにちは。
公認心理師の中越です。
僕は心理カウンセラーこそ、社会問題に向き合うべきだと思っています。
悩み苦しんでいるけれども、支援の手が届いていない。
そういう誰も気づいていない社会問題に、切り込んでいったほうがいいと思っています。
それは支援の手が届いていない人の救いになるだけではありません。
カウンセリング業界の新たな市場を開拓することにもなります。
そんな僕が今までずっと思いながらも、取り組むことができなかった社会問題。
それは中小零細企業の経営者向けのメンタルヘルス。
特に自殺に関する問題です。
日本の会社の9割は、中小零細企業といわれています。
実はバブル崩壊のときは、経営者の自殺が本当にたくさんあって、社会問題になっていました。
若い人はご存知中もしれませんが、本当にしょっちゅうテレビで取り上げられていました。
「連鎖倒産して人様にご迷惑をかけるくらいなら…」。
そうやって自ら命を立つ人がたくさんいたのです。
ただ、喉元過ぎれば熱さを忘れるのように、今はそれが取り上げられることは、ほとんどありません。
そして、実は今でも経営者の自殺率は、データがあるだけでも一般の2倍以上。
普通、2倍以上の自殺率があるとなると、なんらかの福祉や心理サービスがあって当然のはず。
(実際には数字で上がっていないだけで、もっとたくさんの自殺者がいるはず)
これ、「子どもの自殺率が2倍になった」とかなら、すぐ行政が動くはず。
でも、経営者の場合、これがずっと続いていてもなんの支援もないのです。
実をいうと僕自身も、2年前の廃業騒動のとき、やっぱりそれが頭をよぎることが何度もありました。
子どもが生まれたばかりで廃業、無職は本当にメンタルをやられました。
つい保険金でなんとかなんて考えが、頭をよぎってしまいます。
夫婦関係も離婚直前で最悪でしたから、「せめて子どもにお金だけでも…」となってしまったんです。
いま思えばそんなことをしても、誰も幸せにはなりません。
それどころか子どもだって、そんなお金をもらったら人生の重荷になるだけです。
でも、中小零細企業の経営者って、そんな危機がかならずあるものです。
正直、僕のような経験は、中小零細企業の経営者にとって珍しくないでしょう。
そして、メンタルが不調になっているときは、どんなにがんばっても空回り。
経営なんてうまくいくはずがありません。
なにしろ、冷静にまともな判断ができなくなっていますから。
さらに、経営者がメンタル不調になると、その従業員たちもメンタル不調になりがちです。
中小零細企業の場合、経営者のメンタル不調は会社の雰囲気に直結するので、当然のことでしょう。
つまり経営者の家族も、従業員の家族にとっても、経営者のメンタル不調は不幸しかないのです。
でも、もし経営者がカウンセリングを受けることで、経営者のメンタルが改善されていけば?
僕達心理カウンセラーが、経営者向けのカウンセラーという市場を、ちゃんと作っていくことができていたら?
少なくとも会社の空気は良くなります。
そうすれば、経営者自身や従業員の中から、いいアイデアが出てくるかもしれません。
それによって、業績が良くなる可能性だって、十分に想像できます。
そうすればもっともっと、会社の空気が良くなっていき、良循環が生まれます。
なにより、経営者自身がカウンセリングを受け、メンタルを改善する経験をする。
「ああ、メンタル不調ってこんなに辛いんだ。
カウンセリングって、こんなに心が楽になるんだ…」
そういう経験があれば、経営者が従業員のメンタルヘルスに、本気で取り組むきっかけになるはずです。
だから僕は、「心理カウンセラーは誰も気づいていない社会問題に取り組むべき」と、思っているのです。
それはカウンセラーが食べていけるようになるだけでなく、支援や救いの手がない悩み苦しんでいる人たちに、光を当てることができるからです。
今回はこの問題について、経営者専門のカウンセリングをしておられる仲嶺さんと、対談動画を作りました。
ぜひゆっくりご覧になってくださいませ。
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■ 編集後記
なんとなく、
重くセンシティブなテーマなので、
経営者という書き方をしました。
動画の中でもそう言ってます。
でも、僕の本当のニュアンスは、
「町の社長さん」なんです。
「ちょっと、社長!
なにしてますのん!
しっかりしなはれ!」
っていう感じ。
でもこの感じ、
関西人しかわかんないですよね~。
個人の居酒屋さんとか、
町工場の社長さんとか、
そういうイメージです。
でも、廃業すると、
無職者とカウントされる…。
僕はここが一番、
もやっとしました。
これでは正確な数字など、
出ないわけないですよね…。
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